下野市の文化財
文化財の詳細情報
▲埴輪列
▲埴輪出土状況
古墳の墳丘は、明治16年と26年の2回にわたる発掘によっておおきく原形が損なわれています。前方部前端の石室のあった場所も掘り窪められていて、大きく損壊していました。古墳の規模は、過去に実施された測量や現況から、墳丘の全長85m、後円部径63m、高さ7.5mと推定されます。石室は凝灰岩の切石を使用した横穴式石室で、長さ0.6mの羨道部を含めた全長が4.2m(墓道も含めると約9m)、玄室長3.0m、玄室幅2.0m、玄室高1.9mと推測されます。墳丘基壇面のほぼ中央付近には埴輪列が配列されていて、前方部西側から馬や人物などの形象埴輪が出土しました。馬形埴輪は4体確認され、墳丘側には馬子と考えられる人物埴輪が配置されていました。馬形埴輪の前方には女性の人物埴輪が6体、その前方に基部が楕円形で他のものに比べて大型の埴輪が2体、その前方に10体程度の人物埴輪が配置されていました(半数以上が男性の埴輪)。また、形象埴輪の出土した場所近くからは大量の土器群(土師器坏、土師器高坏、須恵器坏、蓋、有蓋高坏、大甕、脚付長頸壺など)も出土しました。これらのことから、この古墳では前方部基壇において何らかの葬送にかかわる祭祀を行ったと考えられます。