ツバキはツバキ科の常緑亜高木です。自生のものはヤブツバキで海岸、特に太平洋岸に多くみられます。この木は境内入口(山門)の南側の墓地にあり、一重赤花のヤブツバキです。推定樹齢は不明ですが、樹高が約15m、目通り周囲1.9mで、根元より1mの所から幹が2分し、枝張りも周囲に広がり全体的にバランスがとれています。開花時には全体に花をつけ、たいへん見事なもので樹勢も良好です。
ツバキは古くから利用されていて、今から約5,000年前の縄文時代の鳥浜貝塚からは、椿材の漆塗りの櫛や石斧の柄が見つかっています。また、『万葉集』でも大友家伴(おおとものやかもち)が「あしひきの八峯(やつを)のつばきつらつらに見とも飽かめや植ゑてける君」と詠んでいるなど計11首あり、古くから人々に親しまれたことが分かる植物です。