この手洗鉢は本吉田の八幡宮境内に設置されています。この手洗鉢は宝永元年(1704)の紀年銘があり、たて長の一般的なものとは異なった形状のものです。台座と手洗鉢部分は一見2段に重ねたように見えますが、一本の石を彫刻したものです。また、手洗部分は4枚の花弁をかたどったように彫られた珍しい形をしていることから、工芸的な価値も備えた鉢といえます。台座に相当する部分には銘文があり、それによると現在は廃寺になっている八幡宮の別当にあたる宝徳院により八幡宮へ寄進されたものであり、江戸時代の神仏混交が顕著にみられる資料です。
銘文「奉寄進八幡宮天□州本吉田別当宝徳院有□ 宝永元年九月吉日」