この絵馬は、奉納した動機や目的は不明ですが、奉納されたのが文化元年(1804)と古く、
かつ縦150cm、横180cmと大型で、また絵師洞敬安長の筆により繊細に描写された人物や波は、約200年経った今もきれいに残っていて、歴史的、民俗的また美術的にも貴重な資料です。
元暦元年(1184)一の谷の合戦に敗れた平氏は船に乗り込み逃げ出しましたが、平敦盛は一人乗り遅れ、馬に乗り船を追いかけますが、行く手を源義経の家臣である熊谷直実に阻まれてしまいます。もはやこれまでと観念した敦盛は、自分と同じくらいの子をもつため、ためらう直実を促して自分の首を討たせたといいます。この一場面、今まさに二人が戦おうとしている様子が絵馬に描かれています。