かんぴょうむき機

| かんぴょう |

 かんぴょうの生産は終了し、夕顔畑も次の作物を作るためにすっかりきれいになってしまいましたが、今年がかんぴょう伝来300年(伝)ということで、現在、生産道具の収集を行っています。

 地元紙にこのかんぴょう道具収集の記事が掲載されたことから、ここ最近は道具の寄贈等の問い合わせがあります。残念ながら地元からの問い合わせがあまりないのですが、先日は宇都宮市(旧河内町)に資料の調査にでかけました。

下の写真が、かんぴょうむき機です。

 新しいもののようにみえますが、意外と古いもので昭和30年代から40年代のころにつくられたもののようです。茨城県結城市の稲葉工業製のもので、ふくべをモーター等で回転させるいわゆる電動式丸むき機といわれれるものです。今使用されているものはモーターが内部にありますが、これはモーターを外部に置くタイプのようです。

かんぴょうむき機と一緒にこんなものも残されていました。

 一見するとなんだか想像がつきませんが、これはかんぴょうを干す際に裾がくっついてしまったものをはがす「裾分け」という作業に使われたものと考えられます。であれば、これまでになかった資料ですが、現在名称も含め詳細を確認中です。もし本当に裾分けの道具であれば、新たな資料として貴重なものとなるはずです。

8月18日(土曜日)、国分寺公民館にて「ベニバナ染め体験講座」が行われました。

講師には栃木県指定無形文化財工芸技術保持者の日下田正先生と、大河原陽先生にお越しいただきました。

染料のベニバナは、7月21日に下野薬師寺跡史跡地内で行われた「ベニバナ摘み体験」で収穫したものを一部使用しています。
過去のブログでも触れましたが、収穫量は当初2.2㎏ほどありました。しかし乾燥させるとなんと約1/6の350gにまで減ってしまいました。これだけでは染料としてはまかないきれないため、別途購入したベニバナと併せて使用します。
乾燥させたベニバナは前日に水洗いし、黄色の色素を洗い流しました。

ベニバナの花には黄色と赤の色素が含まれていますが、きれいな赤色に染めるためには黄色の色素を取り除く必要があるのです。

何度も繰り返し水の中で揉んで黄色を取り除いたものを水に入れなじませたのち炭酸カリウムを入れました。するとどうでしょう。先ほどまで水に溶け出ることのなかった赤い色素が出てきました。紅花の赤い色素はアルカリに溶ける性質なのだそうです。今回はアルカリ溶液を作るために水に炭酸カリウムを溶かしましたが、昔の人は藁の灰や藜(あかざ)の灰に水を入れ寝かせたものの上澄み液を使用しました。ちなみに藍を染める時はクヌギ、ムラサキには椿の灰が使われるのだそうです。

 

 

 

 

 

 

 

色素が抽出されるのを待つ間に、講師の日下田先生のご厚意で藍染めも体験させていただきました。

染色のはじまりは藍草を衣や糸にこすりつける等の素朴なものでしたが、日本では遅くとも5世紀には本格的な藍染めが行われるようになったと言われています。中国・朝鮮半島との交流が盛んになるにつれ染色技術は進化していきました。

藍染めはどんな繊維にも染めやすく、また日光堅牢度に優れ退色しにくいことから各地で愛用されてきました。ベニバナ染めの衣が高貴な人たちの贅沢品であったのに対し、藍染めは身分の高低に関わらず着用することが出来たのです。

日本では主に蓼藍という植物を用いて藍染めを行いましたが、葉の収穫後すぐに染めないと美しい青色にはなりません。葉の茂る夏にしか染色できないことになります。そこで一年中染めることが出来るように考案されたのが藍を発酵させて染める方法でした。藍の色素は水に溶けないため、煮詰めても染液になりません。一度発酵させる必要があるのです。

よく乾燥させた藍の葉に水をかけて3か月ほど発酵させます。これを藍甕に入れアルカリ溶液に溶かします。そうすると還元発酵によりふつふつと泡が立ってきます。これを「藍の花」と呼び、染色が可能になった合図となります。

藍をたて、維持することは職人さんでも大変難しいことなのだそうです。
今回はそんな貴重な藍甕をお持ちいただきました。

各自様々な形に絞ってあるハンカチを染めました。
藍の中で揉みこんでは絞り、同じ作業を3回繰り返した後水にさらします。

 

 

 

 

 

 

 

美しい模様と色にあちらこちらで歓声が上がりました。

 

 

 

 

 

 

 

さて次はいよいよベニバナ染めです。
しっかりと赤の色素が抽出できたらいよいよ染めの作業に入ります。

袋にベニバナを入れて絞り、花と染液を分けました。

 

 

 

 

 

 

 

アルカリ溶液に溶け出た赤の色素は酸性で定着します。少しずつクエン酸を入れ酸性に近づけます。昔の人は熟した梅の実に灰をまぶし燻製したものを水に入れ、酸性にしたのだそうです。
クエン酸を入れた途端に泡立ち、泡の下からはきれいな赤い染液が覗きました。

布を染液に浸したあとはムラにならないように手早く布を繰ります。
約15分ほど染液に浸した後は絞って水洗いして完成です!!

 

 

 

 

 

 

 

鮮やかな色のハンカチがたくさんできました。

 ベニバナ摘みからはじまり、紅花染め、藍染め体験を通して、古代から綿々と受け継がれてきた染色の歴史を垣間見ることができたのではないでしょうか。

 

好きな色の衣服を自由に手に入れることの出来る現代の私達にはなかなか想像し難いことではありますが、古来衣服の色というのは単なるお洒落に留まらない重要な意味を持っていました。「冠位十二階」制度に代表されるように時として身分を表すものであり、選択に多くの制限が伴いました。

使用する材料や割合は細かく規定され、着用する場面に関しても時に制限される場合がありました。その内容については『延喜式』にも詳細に記されています。

平安時代には裕福な貴族たちは色とりどりの衣装を何枚も重ね着してその華やかさを競いました。「襲(かさね)の色目」といって、その折々の季節に応じた色を重ねて着るのです。『源氏物語』『枕草子』・・・どの古典作品を手にとっても、色に関しての記述の細かさに驚かされることでしょう。斬新で美しいその色の取り合わせは今現在でも多くの場面で参考にされ使用されています。

いくつもの染料をかけ合わせ、その濃度を細かく調節することによって色の違いを楽しんできた稀有な文化と伝統を、これからも大切にしたいものですね。

(歴史館 K.T)

7月21日(土)、下野薬師寺跡史跡地内のベニバナ畑で

ベニバナ摘み体験を行いました。

 

収穫した約2.2㎏のベニバナは現在、歴史館前で乾燥中です。

はじめはしっとりと湿っていたベニバナですが、だいぶ水分が抜け、カサカサしてきました。

色も黄色から赤へと変化していきます。

日毎に色が変化していく様子をご覧いただきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日付は収穫日です。

摘んだばかりの花と比べるとかなり色が濃くなっているのがお分かりいただけると思います。

 

8月18日のベニバナ染め体験の時にはどんな色になっているでしょうか。

変化が楽しみですね。

(下野薬師寺歴史館 K.T)

みなさんは「笹紅(ささべに)」というものをご存知でしょうか?

江戸時代の浮世絵を見ていると、下唇だけ緑色に塗られている女性の姿に出くわすことがあります。

これが「笹紅」です。

良質の紅を何度も厚く重ねて塗ると、緑色(玉虫色)に光るように見えます。

これが緑色の唇の正体です。

 

緑色ににぶく光る唇は世の女性たちの憧れでした。

しかし、当時紅は「金一匁、紅一匁」といわれるほど高価なものであり、

贅沢に紅を重ねることができるのはごく一部の人に限られていました。

そこで考えられたのが、

下地に墨を塗り、その上に紅を薄く重ねる・・・という裏ワザでした!!

 

現代の私たちからすれば、奇抜で突拍子もない化粧ですが、

きっと当時も年配の方たちは眉をしかめたことでしょう。

「今どきの若いものは・・・」などというお小言も聞かれたに違いありません・・・。

いつの世もかわらないものですね。

 

さて。

下野薬師寺歴史館では、毎年「ベニバナ染め体験講座」を開催しています。

(全2回の連続講座で、2回とも参加できることが申し込みの条件です。)

 

1日目(7月21日)はベニバナ摘み体験を行います。

文化課職員が講師となり、下野薬師寺跡で栽培しているベニバナ摘みを体験します。

この日に収穫されたベニバナは約1ヶ月間かけて乾燥し、ベニバナ染めの原料の一部として使用されます。

2日目(8月18日)はベニバナ染めです。

講師に栃木県指定無形文化財工芸技術保持者である日下田正先生と大河原陽先生をお招きし、

ハンカチなどを染めます。

 

ベニバナの日本への伝来時期については定かではありませんが、

6世紀の遺跡である藤ノ木古墳(奈良県)からベニバナの花粉が発見され注目を集めています。

 

千年をはるかにこえる昔から、明治時代に化学染料に取って代わられるまで、

その鮮やか色彩で人々を魅了し続けたベニバナ・・・。

ベニバナ染め体験を通して、昔の人々の贅沢気分にひたってみてはいかがでしょうか?

 

たくさんの方のご参加をおまちしています。

詳細はコチラ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(歴史館 K.T)

確認調査

| 発掘調査 |

昨日、確認調査を実施してきました。

確認調査とは、遺跡の発掘調査の事前に行う調査のことで、埋蔵文化財の有無や内容等を確認するための調査です。下記の写真のように重機で関東ローム層上面まで掘削して確認します。

今回は幸い?にも遺構は確認されませんでした。

最近はゴボウが栽培された畑が多く、この写真のようにきれなところは少なくなりました。ゴボウを作るときには、地上から1m以上機械により掘削するため、きれいな「しま模様」が残り、土器も粉砕されてしまいます。

ゴボウは食べるとおいしいですけどね・・・

 

エゴマ

| 下野薬師寺歴史館 |

先日、エゴマの苗を歴史館近くの畑に移植しました。エゴマは平安時代には油として利用されていました。下野薬師寺でも灯明(明かり)の燃料として使われていただろうとの予測のもと、ここ数年栽培しています。

毎年秋には収エゴマの実を収穫・搾油して、下野薬師寺ボランティアの会と共同で灯明の会を行っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下の写真は定植したばかりの苗です。

エゴマはシソ科の植物なので、葉が青しそに似ていますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これからの暑い夏を乗り越えて元気に育ってほしいものです。 

 

そのほか畑には古代米とベニバナが植えてあります。

 今年は、はじめて古代米(緑米)を畑に植えてみました!水田よりは収穫量は少ないとのことですが、今のところ元気に育っています♪ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらはベニバナ。 7月になれば、きれいなオレンジ色の花が咲くでしょう♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平安時代の『延喜式』によれば、下野国(栃木県)でも17~20歳の男子は一人20匁(約75グラム)のベニバナを税として納めるとされているほか、万葉植物のひとつでもあります。かつては、下野薬師寺周辺にもベニバナ畑が広がっていたかもしれません。

昨年は収穫したベニバナを使って、ベニバナ染めを行いました。今年もベニバナ染めを開催しますので、多くの人に参加していただければと思います。

 

畑もにぎやかになりました♪

 

 

 

 

 

 

 

 

下野国分寺跡現地説明会を6月9日(土)に開催しました。

現地説明会といえば、発掘調査の説明会を想像しますが、今回は史跡整備の説明会です。下野国分寺跡の史跡整備工事をH18~H25で実施中ですが、基壇整備等の主要工事が終了し、現地の見学が可能となったことから説明会の開催となりました。

当日は、あいにくの雨・・・でしたが、100名を超える方々にお越しいただきました。当初から雨天決行の予定でしたが、もしかしたら数名しかいないのでは、と心配しましたが杞憂となりました。

いずれにしても、みなさんとても熱心に説明を聞いていただき、改めて下野国分寺跡の整備事業に対する関心の高さを実感しました。

 

5月4日は、安国寺の花祭でした

お釈迦様の誕生をお祝いする日で、安国寺・六角堂では美しいツツジで葺かれた屋根を持つ花御堂に安置された誕生仏に参拝者の方々は竹の柄杓で甘茶を注ぎました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈花御堂の誕生仏〉

 

年に一度、この日だけ拝見することができるお釈迦様誕生の絵の前にてお経を聴きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私も初めて参加させて頂いた花祭は、貴重な体験となりました。

 

 

(歴史館K・S)

 

しだれ桜

| 史跡, |

小金井一里塚のしだれ桜が満開を迎えています。写真は昨日(4/10)に撮影したものですが、これほどきれいなものとは知りませんでした・・・

本来一里塚には榎(えのき)や松が植えられていました。19世紀の『日光道中宿村大概帳』によると、小金井一里塚の西塚には杉、東塚には松が植えられていたとありますが、現在では西塚に榎としだれ桜が、東塚には榎と椚(くぬぎ)となっています。特にしだれ桜はまだまだ小さいため現代?に植えられたものと考えられます。

一里塚の桜は今日の雨で散ってしまったのか心配ですが、今週末までは見頃となりそうです。

                                       文化財担当 H

春の陽気

| 発掘調査 |

今日は、春らしい陽気でどこかへ出かけたくなります。

・・・が、今日は月曜日ということで朝から現場(発掘調査)に行ってきました。

今日の現場は、開発事業に伴う事前の確認調査です。周知の埋蔵文化財(要するに遺跡です)内で工事等を行う場合に実施する予備調査のようなものです。トレンチを設定して、埋蔵文化財が確認される面まで重機で掘ります。この調査で遺構(住居跡など)が見つかると、発掘調査が必要となることがあります。

上の写真が調査の状況ですが、今回は幸か不幸か何も発見されませんでした。

今日のような陽気での調査ならいつでも「喜んで!」なのですが・・・

                                    文化財担当 H