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なくてはならないもの

| 発掘調査 |

現在、道金林遺跡で発掘調査を実施していますが、前回落とし穴を紹介しましたが、今回は以下の写真の遺構について紹介します。

いずれも用途は同じもので、タイトルのとおり当時の人々の生活には欠かせないものです。

 

正解は井戸跡です。

上の写真が古代の井戸、下の写真が中世の井戸です。古代の井戸は1段掘り下げた後に中心部分を直径50~60cm程度の円形に深く掘り下げているのに対し、中世の井戸は上面が直径1.5m程度の円形で底部が多少狭くなる程度に掘られています。道金林遺跡では合計17本の井戸が確認されましたが、いずれも深さが2~3m程度で、一般的な井戸よりも浅くなっています。

井戸の内部の写真ですが、「水がないのなぜ井戸なんだ」と思いますが、よく見ると底部や側面に茶色になっています。これは地下水に含まれていた鉄分が付着したもので、当時は地下水位が現在よりも高く、井戸として十分使用することができたことを示しています。

道金林遺跡からは17本もの井戸が確認されていますが、集落の規模からすると過剰?ともいえる数です。いかに必要なものとはいえ、どうしてそこまで多くの井戸を掘ったのでしょうか・・・

 

 

現在、市内笹原の道金林遺跡で発掘調査を実施しています。

この遺跡からは縄文時代から近世までの遺構が確認されていますが、今回は縄文時代の落とし穴を紹介します。

上の写真は見つかった落とし穴です。南北方向に長く2m以上ありますが、幅は50cm程度しかありません。そのため底面まで掘ることが難しいことから、写真手前側を半分広く深く掘り、落とし穴の底まで掘った状況のものです。深さは1m以上あり、人間が出入りするにも苦労するくらいです。

今回の調査では1基のみ確認されました。

 

こちらの写真も落とし穴です。隅丸の方形で大きさが約1.5×1m、深さが1m以上あります。よく見ると底面の中央に小さな穴がありますが、獲物に致命傷を与えるために尖った杭を立てていた跡と考えられます。

こちらはほぼ等間隔で一直線上に並んで4基確認されました。

落とし穴は通常列をなして多数設置されることから、今回の調査で見つかったものはその列の一部と考えられます。

 

発掘調査をしていて感じたのは、縄文時代の人々がこれだけの穴を掘るのはさぞ大変だったろうということです。発掘調査では移植ゴテを使って掘りますが、土が硬いため、手が痛くなったり移植ゴテが曲がったりすることもあります。鉄製品を使った現代でも大変な作業を、縄文人は石器等で掘り上げたと考えると、その意志と努力は大変なものであったと想像することができます。